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2016年11月14日 • ガイド

企業の経営理念とは?経営理念を浸透させる方法と事例


企業の大小、国の違いを問わず、「企業理念」を掲げる会社は多く、従業員はその担う任務は様々であれ、企業理念の目指す方向へひとつとなり、企業はもとより社会への貢献を果たします。しかしそれは「企業理念」が成功した事例にすぎません。多くの会社の「企業理念」は従業員に理解されることなく、社長室でホコリをかぶっているのではないでしょうか。では、どのようにしたら「企業理念」を浸透させ、会社経営を上手く運ぶことができるのでしょうか?企業理念の浸透のメカニズムと経営理念を上手く成功させた事例を紹介します。

経営理念とは?その定義を理解する

「経営理念」とは経営者にとっては、その会社が目指すもの、会社の存在する意味であり、従業員にとっては働く方向性となるものです。シンプルに表せば「目標」ですが、経営理念には「ミッション」「バリュー」「ビジョン」「カルチャー」と4つの要素で構成されています。これをひとつの定義ととらえ、その企業で働くすべての人に理解してもらうことが、経営理念を浸透させるはじめのステップになります。

経営理念の定義
(1) ミッション:社会において企業が果たしたいと考える役割
(2) バリュー:社会に提供したいと考える価値
(3) ビジョン:企業が目指す姿
(4) カルチャー:行動規範

経営理念に基づいた経営をすることで、従業員の気持ちをひとつにし、そのミッションを実現することができます。経営マネジメントの巨匠として有名なドラッガーも「ミッションの価値は、正しい行動をもたらすことにある」と、経営理念が行動へとつながることを示唆しています。しかし、経営理念を掲げるのは簡単ですが、その理念に沿った経営をすることは簡単なことではありません。例えば、企業が経営理念をポスターにしたり、朝礼や全体会議で唱和するなど、社員への浸透を図ってはいるものの、実際には、社員のモチベーションが上がらない、会社への帰属意識が低い、受け身の態度が目立つなど、「企業が果たしたいと考える役割」と異なる企業もあるかもしれません。

経営理念を浸透させるステップとは?

では、実際にそれらの経営理念はどのようにしたら従業員へ浸透するのでしょうか?まずは経営理念が”浸透しない”理由を考えてみましょう。

経営理念が浸透しない理由
(1) 一方通行である
(2) 経営理念が抽象的で理解できない
(3) なぜその経営理念なのか?その背景がわかりずらい
(4) 経営理念を浸透させる仕組みがない

つまり、経営理念が理解されな状況が、社員への浸透を防いでいるのです。まずは経営理念の定義を理解し、次は、ひとつづつ経営理念を浸透させるステップを実行することが大切です。

経営理念を浸透させるステップ
(1) 共感を呼ぶ経営理念を掲げる
(2) 経営理念の背景をストーリ化することで共有をもたせる
(3) 経営理念を学習する機会(トレーニング)を設ける
(4) 他社の経営理念の成功例を紹介し経営理念の意義を理解する
(5) 経営理念を体験できる活動を取り組む

経営理念の浸透方法については、多くのビジネスコンサルティングでその手法が紹介されていますが、基本的には言語とその内容を簡潔にし「理解」を得る。経営理念に隠された企業の思いや歴史などを「物語にする」ことで「共感」を得、経営理念の「教育」や「体験」を通じ、その存在意義が従業員に広ると考えられています。

経営理念の浸透事例 1 「スターバックスコーヒー」

「スターバックスコーヒー」は、経営理念の浸透で成功したことで知られる企業のひとつです。元CEOの岩田松雄氏による経営理念浸透のコツや、事業成功のノウハウは、多くのメディアで紹介され、これから事業を始める起業家や、経営不振に悩む中小企業の経営者への指針となっています。スターバックスの経営理念は、同社のオフィシャルサイトで明確に掲げられています。
“”人々の心を豊かで活力あるもににするために – ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから””
スターバックスは、一人一人のお客様に丁寧に接し、心地よい経験を提供することをミッション(経営理念)としています。そして提供するのはコーヒーだけでなく、スターバックスで働くすべての従業員による心づかいです。この理念が本社の正社員のみならず、店舗のアルバイトスタッフから役員にまで浸透しているのは、熱心な人材育成にあると言われています。同社では、80時間以上を社員研修・教育に費やすそうです。従業員は本業であるコーヒーの淹れ方を学ぶ前に、スターバックスのミッションや歴史を学びます。経営理念を丁寧に学ぶことで、ひとつの方向性に向かう姿勢が育まれ、それはお客様への丁寧な対応として現れ、顧客満足につながり、ミッションを果たしているのです。

経営理念の浸透事例2「オリエンタルランド」

夢がかなう場所”として知られる「東京ディズニーランド」。その接客のクオリティの高さは、東日本大震災という想定外の惨事の中の素晴らしい接客で世間に感動を与えました。その東京ディズニーランドを経営するオリエンタルランドの掲げる企業理念は
”自由でみずみずしい発想を原動力に、すばらしい夢と感動、ひととしての喜び、そしてやすらぎを提供します”というもの。
オリエンタルランドで、20年以上にわたり人材育成に関わった経歴をもつ大住力(おおすみ・りき)氏は、ディズニーの成功に関する自身の著書の中で、ディズニー従業員の自ら働く職場作りについて紹介しています。その内容は、ディズニーには新人からベテランまで誰が実行しても同じ結果となる「マニュアル」があること。しかし一方で、マニュアルだけに頼るのは危険であることも力説しています。オリエンタルランドが目指すミッションは「幸せの提供」です。そのミッションを浸透させるには、マニュアルを基本としながらも、手段(マニュアル)が目的になってはいけないと語り、ある事例を紹介しています。それは、難病を抱える子供たちをディズニーランドに招待したものの、車椅子に乗った子供たちのほとんどがアトラクションに乗る事ができず、代わりにキャストによる丁寧な断りの言葉をもらった、というもの。これはマニュアルやルールに従うことが目的となり、理念である「幸せの提供」が達成できていない状況です。このような”手段の目的化”を防ぐため、ディズニーランドでは、正社員、アルバイトを問わず全ての従業員に「幸せの提供」を果たすためなら、自分の発想で行動することを許可しています。災害時、帰宅困難に陥ったディズニーランドのお客様へ、素早く商品を提供できたのは、従業員の「自由でみずみずしい発想」によるものです。

経営理念の浸透事例3「エーザイ」

ヒューマンヘルスケア”のスローガンで知られる医薬品会社「エーザイ」。この言葉はエーザイの企業理念を集約したもので、「hhc」と略され、エーザイのいたるところで共通認識として浸透しています。正式な企業理念は”患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのベネフィット向上を第一主義とし、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する”であり、この理念は会社の定款にも規定される程、徹底して企業理念を大切にしています。その根底には、エーザイが1941年の創業以来、良質で健全な研究をベースに、質の高い製品を生み出すことに努力し、世界中の多くの人の健康に貢献したいという高い志をもって企業経営を行ってきた企業の歴史や背景にあります。エーザイのミッションは「患者とその家族の喜怒哀楽を第一主義」とし売上や利益は、このミッションの結果(患者の満足の結果)であるとしています。企業理念であるhhcの社内への浸透として、「患者の真実を知る活動」を実施しています。これは、全ての社員が就業時間の1%を患者と共に過ごすことを業務の一環とする規定です。例えば、介護施設で認知症患者の介護をすることで、患者の喜怒哀楽に触れ、患者の要求を理解し患者目線で物事を考えられるという体験が得られます。この活動から得た気づきは業務の中、他部署とのコラボレーションでの取り組み「hhc活動」として共有していきます。つまり、経営理念を体験を通じてすべての従業員に浸透させ、そのミッションである患者への満足へと繫がっているのです。

「経営理念」については多くの研究が行われ、経営理念と業績との関連性を問う様々な議論がされています。しかし、いくら経営理念を掲げても浸透しなければ効果は得られないのが現状です。経営理念の要素を理解し、浸透を成功させた企業の事例を参考に、自社にふさわしい経営理念浸透のための仕組み作りを目指してみてください。